体調を崩してまで……日本を世界に伝えるユーチューバー
2018年09月28日
ブライアン・ラフキン
レイチェルさん・ジュンさん夫妻は、「J-ビデオ・ブロガー」(Jブロガー)だ。ユーチューバーとして、観光地として人気が急上昇し、世界の関心を大きく集めている日本での生活をビデオで撮り、日本について知りたいという大勢の人たちに向けて解説している。
世界のどの国であれ、その文化が持つ独特なニュアンスや特徴を噛み砕くために書かれた本や記事がある。しかしYouTubeでは、ある国への関心が非常に高い。日本だ。
赤毛の女性が日本の「宮城蔵王キツネ村」で何十匹ものキツネと戯れているビデオの再生回数は、600万回以上に達している。「Idiot’s Guide to Japanese Squat Toilets(サルでも分かる和式トイレ・ガイド)」は300万回、「Modern Japanese Table Manners(現代の日本食テーブルマナー)」は200万回近い再生回数になっている。
こうしたビデオはすべて、「レイチェル&ジュン」というYouTubeのチャンネルを運営している名古屋で暮らすビデオ・ブロガー、レイチェルさんとジュンさんの嘉月夫妻が作ったものだ。日本の日常生活での実体験に基づいた2人のビデオは、2億回以上再生されている。
2人は、「Jブロガー」と呼ばれるコミュニティーに属している。日本文化への洞察を共有して何百万回という再生回数を稼ぐユーチューバーたちだ。多くは日本で暮らす外国人で、日本の高校見学からカプセルホテルでの宿泊体験、複数の人種の血を引くことはどんなことかに至るまで、Jブロガーたちは何でも投稿する。
Jブロガー人気は、もっと大きな流行の一端を担っている。YouTubeは日本において、これまでにないほどの人気なのだ。YouTubeのアジア太平洋におけるクリエーター・アーティスト開発責任者、マーク・レフコウィッツ氏は、「日本でYouTubeチャンネルに投稿されるコンテンツの時間は、2016年から2017年で倍増した」と説明する。
レイチェルさんとジュンさんは、180万人のチャンネル登録者向けに日本に関するビデオを作って生計を立てている。そこから分離したチャンネルもあり、料理ビデオが中心の「Jun’s Kitchen(ジュンズ・キッチン)」の登録者数は200万人だ。
夫妻はYouTubeでどれだけの収入を得ているのかは、教えてくれなかった。再生回数や視聴者の居住国によって広告料金が異なるなどにより、その時その時で収入が異なるというのが理由だ。多くのユーチューバーの収入も同様だ。
2人は、Jブロガーとしてのビデオ作りが他の仕事への扉を開いたと話す。夫婦でビデオゲームの声優の仕事を依頼されたり、レイチェルさんがモデルを打診されたりするようになった。さらに、クリエイターのための資金調達サイト「パトレオン」での視聴者からのスポンサーと寄付(多くの人気ユーチューバーにとっての2本柱)もあり、これらすべてが収入の足しになっている。
しかし夫婦は、インターネットで有名人になろうとしたわけでは決してなかった。2012年にチャンネルを始めた時、2人は長距離恋愛中だった(ジュンさん日本を世界に伝える人気ユーチューバーは日本人、レイチェルさんは米国人)。2人でビデオを共有するためにこのプラットフォームを使った。
他の人たちが関心を持つようになるまでに時間はかからなかった。2012年3月に「What NOT to do in Japan(日本でこれはやらない方がいい)」を作った時、チャンネル登録者数はわずか数十人だったが、あっという間に再生回数を増やしていった。
しかしビデオブログ成功への道は簡単ではない。
「休みがない日が2~3年ほどありました。週7日働いていた。起きている時間はすべて、ビデオ作り、編集、アイデア出し、撮影、ソーシャルメディア、集まりへの参加といったことに費やしました。結局、2人とも体調を崩してしまった」とレイチェルさんは言う。「自分が自分に課した締め切りに間に合わせるために数週間おきに体調を悪くし、週に数回は徹夜しました」
ユーチューバーの燃え尽き症候群は珍しくない。しかし、レイチェルさんとジュンさんを突き動かしたのは、自分たちが本当に大切に思っていることをビデオにしたいという思いだった。そして日本についてもっと知りたいというインターネットがそれに応えた。
(リンク先に続きあり)
YouTubeユーザーのレイチェルさんとジュンさんは、日本での暮らしについてビデオブログを作る人たちから成る「Jブロガー」コミュニティーの一員(写真提供:レイチェル&ジュン・ヨシヅキ)
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Source: YouTube速報