抜粋
手間をかけるために、美味しい物を作るわけじゃない
「僕はたぶん、世の中でいちばんたたかれている料理研究家ですよ」
なぜたたかれるのか。レシピでうま味調味料を積極的に使用するからである。
「うま味調味料を使って料理研究家を名乗るなって意見がめちゃくちゃ多いですね」
実は私も最初、リュウジさんのレシピで「うま味調味料をひと振り」などと書いてあるのを見て驚いた。そういうものはあまり公にしないと思い込んでいたからだ。しかも使い方が「ひと振り」とか「3振り」とか、ちょっと挑戦的だ。リュウジさんによると、うま味調味料を使う理由は二つある。
「まずうま味が強く出ることです。天然の素材から取った出汁(だし)だけであれだけのうま味を出すには、相当凝縮しないと無理なので、事実上再現できないと思います。二つ目の理由はうま味調味料には香りがないこと。たとえばカツオとかコンブの香りを控えめにしてうま味だけ足したいときに、うま味調味料がいいんです」
彼なりに合理的な理由があるのだが、それでもたたかれる。
「それは出汁を取ることが美徳とされてきたからですね。手間をかけることがものすごく、大事なことになっちゃってる」
うま味調味料の合理性を、料理は手間をかけるべしという道徳観が排除する。
「でもね、人って美味しい物を食べるために料理するじゃないですか。そこに手間って一つもいらなくないですか。だって手間って、別に美味しさとかじゃないですもん。美味しい物を作るために手間が必要なわけであって、手間をかけるために、美味しい物を作るわけじゃないので」
ネットでは中華の合わせ調味料を使うことの是非について定期的に論争が起き、以前は「母親がお惣菜のポテトサラダを買ってもいいか論争」もあった。
「だったらお前が作ればいいんじゃないのって、だけの話ですけどね。作んない人が言うんですよね、それ。いっつもそういうの否定する人って、作んない側の人なんですよ」
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Source: YouTube速報