この動画は、ヒカルさんが、閉店セールと称して、大幅に価格を下げている古着店をおとずれて、すべての商品を買い占めたうえで、3日後にやって来たところ、まだ営業をつづけていたという内容だった。
しかし、その後、ヒカルさんは別の動画で、実はヤラセだったと認めた。「実際にそういうのがおこなわれているという闇が世の中にあるわけで、架空のものをつくりだして、注意喚起になればと思った」と語っている。
このヤラセの是非はさておき、もし仮に閉店セールの在庫商品をすべて買い占めたら、閉店させることはできるのだろうか。前島申長弁護士に聞いた。
●閉店を迫ることはむずかしい
――仮にヤラセではなく、本当にヒカルさんが閉店セールの商品を買い占めていた場合、店は営業をやめないといけないのか?
そもそも、閉店セールを称して長期間にわたり商品を販売するいわゆる閉店商法については、閉店までの一定期間のみ特別な値引きがおこなわれているとの認識を客に与えるおそれがあることから、景品表示法で禁止された「不当表示」に該当する可能性があります。
一方で、今回のように、在庫がなくなったら閉店するといいながら、店内の商品全部を購入された場合、店が営業を継続することができるかという問題については、閉店をおこなうかどうかは基本的には、店側の自由判断になると思います。
というのも、店とヒカルさんの契約は、あくまで「商品の売買契約」にすぎず、店側に閉店する法的義務までは発生しないと考えられるからです。
――閉店することを条件に商品すべてを買ったとしたら?
閉店することを条件(店側が閉店しないことを解除条件)として、在庫商品すべてを購入するという「条件付きの売買契約」が成立していると解釈することができないことはないと思います。
ただ、このような場合にも、購入者が主張できるのは、売買契約を解除して、商品を返品する(代金の返金を受ける)ところまでだと考えられます。
また、閉店すると思ったから在庫商品全部を購入したという場合、錯誤取消(民法改正前は錯誤無効)の主張が考えられますが、その場合も、錯誤取消が認められるためには、表意者が法律行為の基礎とした事情が相手方に表示されている必要があります。
――ヤラセ動画の中ではあるが、ヒカルさんの撮影行為が「営業妨害だ」と言われている。
撮影行為自体がすぐに営業妨害にあたるわけではないと考えます。しかし、店側が、撮影を中止するように申し入れているにもかかわらず、しつこく撮影行為をおこなったような場合、営業妨害が成立する可能性があると思います。
また、店側が退去を求めたり、回答を拒絶しているにもかかわらず、しつこく閉店を迫ったような場合、強要罪などに問われる可能性もあると考えられます。
10/4(日) 9:30 弁護士ドットコム
https://news.yahoo.co.jp/articles/d29a921641a1a3939dca24f1e2e3ed34a8bf37bc
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Source: YouTube速報